「つばさ」の旅


 平成12年12月4日に山形新幹線は新庄まで延伸しました。その開業当日に、つばさに乗って新庄方面へ日帰り旅行をしてきました。同行者は、大学時代のサークルの仲間、s-itoh氏とsugi氏です。

新庄ってどこ?

 集合場所の東京駅22番線に着いてまず驚いたのが、つばさ号の行き先案内。電光掲示板に、通常通り列車名と行き先が並んでいるのですが、目的のつばさ号のところだけちょっと変。
 よく見ると、行き先が「仙台・山形・新庄」とな

E3系
新庄延伸に合わせて登場した新車E3系

っているのです。別に、山形止まりの車両が連結されているわけではありません。今までと同じなら「仙台・新庄」となるべきところで、東京における新庄の知名度の低さを裏付ける形になっています。
 余談ですが、ある人がチャットで「明日、新庄に行く」と発言したら、「新座(埼玉県)」と間違われたというほど。


延伸区間へ

 山形までの話は飛ばして、山形から先の延伸区間の話へ進みましょう。
 ほとんどの乗客は、山形で下車し、残った乗客は3分の1か、それ以下という状態。しかも、鉄道好きで乗りに来たとおぼしき客が多くを占めていました。

新庄駅ホーム
新庄駅のにぎわい。右手にTV中継が見える。

 と、山形までいつもどおりの運転を続けてきたつばさ号に車内・車窓ともに異変が発生!
 まず、山形を発車するなり車内放送で「本日開業」の案内が流れたところからそれは始まりました。
 停車する駅には、開業を祝うのぼりが立てられているほか、見物客が大勢詰めかけて車内をのぞき込み、駅前では山形名物「いも煮会」が開かれるなど、まさにお祭り騒ぎ。
 中学校の前を通過したときなんか、下校時間にあたったこともあって、中学生の注目を浴び指まで指されてしまい、道行く人からもいちいち注目を浴び、ちょっといい気分になってしまいました。
 もう一つ驚いたのが、すれ違う列車のほとんどが団体列車ということ。つまり、「開業した山形新幹線に乗って東京へ行こう」、というツアーがとにかく多い。かくいう私たちが乗っていた列車も折り返しは貸し切り列車だったらしい・・・。


新庄駅に到着

 新庄駅についてからがまた大変。ホームは歓迎ムード一色で、テレビ中継あり、地元特産品の無料配布あり、出迎えの人と折り返しの列車に乗ろうという人など、とにかくゴチャゴチャという感じ。ちなみに、配っていた特産品は、なぜか「納豆」。「ちょっと、におうよ」とかいいつつしっかり荷物の中に詰め込んだのでした。

新庄駅前歩行者天国
新庄駅前の歩行者天国、市場が開かれていました。


 駅は、開業に合わせて改築されたらしく、とにかくきれい。ガラス張りで、物産館みたいなものが併設されていて、ただただ感心するばかり。
 駅前は駅前で、歩行者天国で市場が開かれていたりして大混雑。飲食店の中には、開業に合わせて新幹線と同じ「つばさ」と店名を変更したらしいところもあるくらい。
 駅前で食堂に入ったら、地元テレビはずっと生中継で新幹線開業を伝えていたし、地元新聞は一面トップで延伸を伝えていました。
 鉄道の開業日に現地へ出掛けたのは初めてだったので、見るもの聞くものとにかく珍しかったです。鉄道の斜陽がいわれて久しいですが、こういうのを経験すると鉄道にかける地元の期待というのは、ものすごいものがあると実感する旅でした。

新庄駅
ガラス張りの新庄駅。左手が複合施設、右手が駅施設。

つばさの旅、その後

 さて、新庄で開業のお祭り騒ぎを堪能したあと、なぜか我々3人はバラバラの行程に。新庄から先の行程をどうするか、新庄に着く直前までどころか、着いてからも迷っていた3人でしたが、結局s-itoh氏は延伸区間を途中下車しながら戻り、sugi氏は秋田に行くとかで陸羽西線で日本海側へ、私は陸羽東線で鳴子温泉によってから東京へ向かうということにして、太平洋側へ。まあ、いつものことなんですけどね、大学の仲間で旅に出て途中でバラバラになってしまうのは・・・。


鳴子温泉へ

 陸羽西線に乗って秋田へと向かうsugi氏を見送ったあと、新庄から陸羽東線に乗って鳴子温泉へ。
 この日から陸羽東線は「奥の細道ゆけむりライン」という愛称に、一方、sugi氏が消えていった陸羽西線は「奥の細道最上川ライン」という愛称になりそれぞれ新車も投入されている。
 ちょうど高校生の帰宅列車にあたり、車内はかなりの混雑。高校生の会話に耳を傾けていると、どうやら編成も短縮されたようだった。

陸羽東線
陸羽東線の新車、右下にロゴマーク入りです。


 つばさが遅れていたため、その到着をまって出発。しばらく山形方向へ向かう奥羽本線のレールと併走してから別れる。
 さて、この日から陸羽東線にも一部駅名を変更したところがあって、羽前赤倉から赤倉温泉へ、羽前向町から最上へ、瀬見から瀬見温泉へ変わっています。最近、「〜温泉」など温泉をイメージさせる駅名への変更が多いですが、ここもその例に習っているようです。ただ、個人的には、はじめの数駅ならともかく、こうも増えてしまうと駅名プラスアルファがないと、お客を呼び込むのは難しいのではないかと思いますが、どうなるでしょう。


鳴子温泉

さて、新庄から約1時間で鳴子温泉です。鳴子といえば温泉よりも先に「こけし」のイメージが強いのではないのでしょうか。それに違わず、駅前にはこけしをかたどった柵がありました。
 せっかく温泉に来たので、列車の時間を確認してからさっそく温泉へ。
 駅から徒歩で5分ちょっとの共同浴場「滝乃湯」へ。外観こそ近代的ですが、内部は昔ながらの風情ある造りになってます。男女別で、浴槽が2つ。洗い場は小さいのが一カ所だけ。打たせ湯のようなものもありますが、浴槽に勢いよく落下しているので、人が多いときには迷惑になるかも。体や髪を洗うよりも温泉であたたまる気持ちで行くのがいいでしょう。

こけしの柵 共同浴場「滝乃湯」
こけしをかたどった柵の柱 共同浴場「滝乃湯」


交通: 東北新幹線古川駅から陸羽東線で約40分鳴子温泉下車
山形新幹線新庄駅から陸羽東線で約1時間鳴子温泉下車

 今回の旅行はここまで。鳴子温泉で温泉につかったあと、再び陸羽東線に乗って小牛田(こごた)へ抜け、さらに東北本線で仙台へ向かい東北新幹線で東京へと向かったのでした。


今回の行程

東京 9:02−(つばさ183号)−12:51 新庄 14:09−15:11 鳴子温泉 16:19−
17:23 小牛田 17:40−(快速南三陸4号)−18:16 仙台 18:47−(やまびこ24号)−20:03 大宮

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