只見線への旅(その5)

只見線完乗(只見から小出へ)

 会津川口で大部分の乗客を降ろした列車は、只見川をさらにさかのぼります。
 車窓は、時には両側から迫った山の間を只見川に寄り添い、時には盆地状に開けたところでは田畑とその中に固まって立つ民家、という繰り返しです。
 会津田島から、徐々に少なくなっていた積雪も増えだし、夕日に白く輝いて何とも言えないコントラストを見ることが出来ました。
 

夕闇迫る車窓 夕闇迫る車窓
只見駅まであと少し 只見駅まであと少し
(左は只見川)

 只見に近づくにつれて乗客はますます少なくなり、只見まで乗っていたのは2両あわせて20人いたかどうかでした。ここはもう、1日3往復しか列車のない区間です。
 会津塩沢を過ぎたあたりだったでしょうか。車掌が検札にまわってきて、只見までの切符は回収するとのこと。私は、大宮までの乗車券を持っていたので、回収されず、代わりに乗っている只見行きがそのまま小出行きになるので、そのまま乗っていて構わないと教えていただきました。
 

只見駅構内で見つけた標識
「只見海抜三七二米」と書いてあります
只見駅外観

 15:57、只見着。もう12月で山間ということもあり、あたりは徐々に暗くなり始めています。小出行きの発車は16:20で若干時間があるので、一旦、下車して駅前を少し歩いてみました。駅前には、バス停とタクシー会社、小さな商店、ちょっと歩いたところにそば屋や旅館など、一通りのものがそろっています。駅から100mほど歩いた交差点まで行ってみましたが、車の通行量も予想外に多かったです。
 16:20、只見発。先ほどと同じ席に座って終点の小出を目指します。乗客はますます減って、各車両7〜8人ぐらいでしょうか。
 会津若松からご一緒のご夫婦から、温かい飲み物とお菓子を頂きました。色々お話をしていると、何と出身大学(どうやら学部も)が同じことが判明。お見受けしたところ50歳前後なので、大先輩に当たる方で、あまりの偶然にびっくりしました。
 お子さんが手が掛からなくなってから景色のいいところを求めてご夫婦であちこち旅行していらっしゃるとのこと。旅行先で、一緒になった方とお話しする機会はほとんどなかったので、新鮮な経験でした。
 さて、車窓は田子倉を過ぎるあたりから日も落ちてしまい、ほとんど見ることが出来なくなってしまいました。でも、時々過ぎる車の灯りや、家の灯りを眺めをぼーっと眺めるのも、また趣があっていいものです。一人旅の気楽さと寂しさを感じるひとときと言ったら、大げさでしょうか。
 時刻表通りに、ひとつずつ駅をたどって、17:42小出着。只見駅で積もっていた雪も、いつしか消えていました。

小出駅只見線ホーム駅名標
小出駅只見線ホームの駅名標

 18:16発の越後中里行きまで時間があるので、駅前を少し歩いてから待合室へ。室内にある地図やポスターなどで、ご夫婦(主に男性)といろんな旅先の話をして過ごしました。
 そうこうしているうちに列車の時間となり、ホームへ行くと、これが結構混んでいます。ちょうど学生や会社員の帰宅時間にあたっているようで、やってきた列車も立ち席が出るほどの乗車率でした。只見線では時間が止まったようなひとときを過ごしていたので、今日が平日であることを思い出します。
 浦佐駅で上越新幹線に乗り換え。ここまでご一緒だったご夫婦は、越後湯沢駅で乗り換えるとのことで、ここでお別れすることに・・・。飲み物やお菓子を頂いたことにお礼を言って、下車しました。
 さて、この浦佐駅。新幹線の駅なので、当然のことながら立派なコンコースがあり、駅前から見ると高架になっている新幹線ホームが、まさにそびえ立っているように見えるのですが、人がほとんどいません。みどりの窓口はあるものの、それ以外にあるものといえば売店が改札の外にひとつだけ。駅のなかを歩いてみると、かつては団体待合所など、数多くの設備があったようですが、そのほとんどは閉鎖されていました。まだ、おみやげを買っていなかったので、ひとつだけある売店で「しんこ餅」なるものを購入。これ、何気なく買ったのですが、翌日食べたところ、とても美味しかったです。

浦佐駅新幹線ホームの駅名標
浦佐駅新幹線ホームの駅名標

 時間になって新幹線ホームに上がりましたが売店もなく、あるのは待合室がひとつだけ。何とも、寂しい光景です。
 しかし、新潟から来たあさひ358号からは、かなりの下車があり、浦佐駅は在来線との乗換駅という意味合いが強いようです。
 ここで新幹線に乗り込めば、もうあとはひたすら家に向かうだけです。自由席の禁煙車2列シートに空席を見つけ、ほっと一息。隣も空席で、唯一の途中停車駅である越後湯沢でも、誰も来なかったのでのんびりくつろぐことが出来ました。
 越後湯沢を過ぎるとトンネルの連続ですし、何度も乗っている路線なので特に興味もなく、朝早かったこともあり、ついウトウトと・・・・。気が付いたら車内放送で「まもなく大宮・・・」と流れていました。

(只見線への旅(完))

そうだ旅出ようへ
只見線への旅(その1)へ戻る
只見線への旅(その2)へ戻る
只見線への旅(その3)へ戻る
只見線への旅(その4)へ戻る
旅先案内Indexへ戻る
トップページへ戻る